体感時間 Jet lag 〜インストとスカートは短い方がいい〜

一日24時間は地球に住んでいると誰であっても変わらないのですが、その流れの感じ方は人によって異なるのが自然です。そういうお話。

日曜に夜だけボードゲームしに行っていました。
http://d.hatena.ne.jp/retrobuilding/20120308/1331191206
ここのゲーム会はオープンで開催時間がほぼ3時間です。私は家が近くて便利なのでよく行ってます。

開会式後『シティタイクーン』(公式プレイ時間75分、いわゆるノットフォーミーゲーム)の卓に頼んでみると入れてもらえそうなので、私も加えてもらう。
http://www.gamers-jp.com/playgame/db_gamea.php?game_id=5372
この卓を選んでいるのは別に『シティタイクーン』が今すぐ猛烈にしたいという理由ではないのですが、それは本稿には関係のないことなので割愛します。
この卓は全員初プレイです。ただ、(ゲームは持ってないですが)私はルール知っていますし、インストもできます。実は前日のキウイゲームズで遊んだ時も別のメンツが「これやろうか。」という話になって「じゃあ私がインストしましょうか」と言っていたのですが、メンツとタイミング悪くて遊べませんでした。で、いつもならインストやってしまうかもしれないのですが、この日はインスト買って出ません(押しつけません)でした。こういうのもあっていいよね。

さて、ゲームの始まり。5人プレイです。
持ち主「ではゲーム始めます。」
TTB「…(ニコニコ)…(お、インストゼロという画期的な手法だ)…」

参加者「ところで、これはどんなゲームなのですか?」
持ち主「街をつくって得点を稼ぐゲームです。では、タイルを6枚配ります。」
参加者「え?」
TTB「…(ニコニコ)…(のっけからやるおるわい、若いの)…」

ここはね。参加者に結構学生さんがいるのですよ。社会人と学生が混在するオープンゲーム会です。ちなみに「最初ですから、このゲームではむちゃくちゃやります。」宣言もありました。かっこいー。

参加者「(タイルを6枚渡された)えーと、何をしたらいいのでしょう?」
持ち主「ドラフトです。」
TTB「えーと、提案。ドラフトがわからない子もいるだろうから、もう少し細かく教えてあげればいいのではないですか。」
持ち主「そうですか。一枚選んで次に回します…(以下説明)。では、回してください。」
参加者「はぁ。」
TTB「あ、もうひとつ提案。最初に順番決めた方がいいのではないですか。それで各人所持金が違うしね。」
持ち主「なるほど。順番決めましょうか(じゃんけんぽん)。では、回してください。」
参加者「あのー、このタイルに描いてある記号はなんでしょう?」
持ち主「えーと、これなんだったっけな。(日本語訳から捜索中)」
TTB「それはですね、(以下アイコンを簡単に説明)」

以降ずっとこの調子です。なかなかエキサイティングですね。
とりあえず、この日来ていた65人の中にはこのあたりでおそらくキレてしまう子が幾人かいたのですが、彼らがこの卓に入っていなかったことをあらゆる神や仏の類に感謝したい。

ゲーム中、順番を促し、質問があれば答え、私の番になると考慮時間なしで「なぜこの行動をしているのかの意味を説明しながら」プレイしているのでえらく疲れました。なんとか2時間半くらいで終わったと思います。でも、興味深い経験をしました。

これ別に私は持ち主を否定するつもりはないのです。さもなければ私がやっているよね。立場の違いが時間の流れの差を産んでいて、違う流れがぶつかるところに潮目ができる。この日はその狭間を見たのです。

例えば学生さんですとずっと遊ぶ相手はいますし、何より時間がいっぱいある。私も学生の時は(お金なかったし)そうでした。だから、最初プレイするゲームなんかをルール勉強のために「捨ててもいい」わけです。なぜなら、もう一回やればなんの問題ないから。こういう時間の流れ把握をしているのです。
ところが一方で社会人は時間が結構クリティカルな要素になっています。結構お金には余裕ができてくるのですが、その分相手と何よりプレイ時間に苦労しがちです。(もちろん双方の立場とも例外はいるでしょうが、それはまあいったんおいておいてと。) ですので、一回目のプレイからちゃんとできないといけません。その分神経質になります。

ここは、誰でも来れるオープン例会なので双方の立場に対して対応できるのがベストですが、日本の学生の場合はほとんど社会に出た経験がないので、このあたりむべなるかな。

この局面で私が考えることですが、学生さんに対しては基本放置なのです。だって彼らは次に必ずプレイしてくれるから。いや、放置というのは言い過ぎか。なぜなら、この会場には彼らの下宿にはない時間制限というものがあって、その時間内に収めないといけないね。
でまあ、私の優先事項はこの卓にいる社会人に対して「これ面白い」と思わせる(理想)か、せめて「こんなの二度とプレイするものか!」と思わせないこと(最低限)なのであろう。そのために、ちゃんと終わるように頑張りました。疲れた。

なぜ私が自分でインストしないのか。

方法論を否定することは簡単だが、人に認知されるのは結構いいものだ。うん、悪くない。学生さんは彼らがふだん(善意で)やっていることを日常の延長として行っているだけなので、それを極力認めてあげたいのです。だいたい、否定されるとやる気なくすよね。それでこの趣味から遠ざかられたら困るのです。誰が困るのか。私が困るのです。

全員「もう一回やりたい」と言ってくれたよ。

こういった仲介手法によることも、ボードゲーム普及の一つの形態なのだと思うけど、これまでなかなか適当な例がなかった。ちょうどそれを体験してきたことを私の備忘のためにも書いておきたいと思います。