遅すぎる感の春アニメ考

基本mixiに軸足置いているのだが、一応外にも書いておくかね。

例年春アニメはGWが挟まっているので、少々遅れてもとりかえせるという思いがあるのだが、今年に関しては震災の影響があって全くと言っていいほど消化が進まないどころか、率直なところ全然観れていない。このまま、アニメの方は引退しそうな気がする。まあ、忘れないうちにみているものだけでも書いておこう。一種の備忘だね。

TIGER & BUNNY
原作なし、オリジナル。日曜朝のテレ朝作品に代表されるように「玩具売らないといかん」というノリを逆手にとってデカールでうけてしまおうというつくりがよい。
この点だけでも十分評価に値できるくらいのインパクトです。
結局のところ、ヒーローであっても常にスポンサーの動向に気を配り、彼らの助力なしではヒーローとして存在しえないというのが妙に身につまされる部分があって、特に年長世代にはけっこう共感が呼べるのではないかと思います。
展開とテンポもよく今期ではなかなか秀作なのではないかと思います。

戦国乙女〜桃色パラドックス〜
最近無視できなくなっているいわゆるパチンコもの。スポンサーいないしなあ。どうしても女体化というと『恋姫†無双』等と比べてしまうのですが、そういうのはやはり野暮というものなのだろう。
戦闘とそれに伴う死をどう描くかがこういった作品のある種アキレス腱なのですが、そこはまあまあ、うまく「凌いでいる」と言ってよいと思います。
ただまあ、そこまでの作品といえばそうなのかもしれない。『海物語』のノリを期待するのは過剰なのでしょう。

DOG DAYS
原作不明。これも戦闘もので「ルール」というものを入れることによって怪我や死を必死に回避している感があって、そこは少しいたいですが、
戦闘に重きをおかず、気楽に視聴できるエピソードを中心に据えればなんとか観続けられるのではないかと思う。

花咲くいろは
オリジナル作品。一見重たい始まりから、緩急つけて展開していこうという意図はよく見てとれる。脇キャラが個性的でそれの背景を説明していけばそれなりの展開にはなりそうな気はしますが、萌え作品でそこまでの展開が必要なのかどうかという点だけいまひとつ。
どうも今のところ脇キャラの消化不良に陥っているように見えるというと少しいすぎなのかもしれない。
ちょっと軸足がよくわからない分、観続けるのは辛いかもしれません。

STEINS;GATE
2009年のゲーム原作(教えていただきました)。ニトロプラスが入っているので18禁かと思いきやそうではないらしい。観ていると確かにゲームらしく明確に攻略ルートが存在する。シナリオは驚かされると思うし面白いと思うし、助手も可愛いのだがそれ以上に何か響いてくるものがあるかというと疑問。こういうものに素直に感動できなくなっているのが私の歳とったゆえんなのかもしれない。
どうしても花澤つかわないといけなかったのかね。あと花田さんにもう少し参画させればよいのではないかと思う。しばらくするともっともっと面白くなるという助言をもらったので観てみるつもりである。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
オリジナル。一般に不思議少女というべきなのだろうが、半端ではない不思議さのめんまがキーになる。主役の埋めがたいトラウマとそれに基づく悲哀からの脱却をテーマにしているとすると、もう少し重くつくってもよい気がするのだが、ちゃんと節々には明るく元気な挿話をいれてくるのが意図してかどうか。
しばらく「アニメ→実写化」という流れが結構確立しているだけにむしろ実写化を意識して制作しているのではないかと勘ぐるくらいである。脱却という結末をどうまとめるかには興味がわくので観るかもしれない。
「あの日見た花」が最終的にどうオチに絡んでくるのかにも興味がある。

『C』
今期のノイタミナ枠。原作なし。ポケモンなどに代表されるいわゆる代理バトルものである。バトルの敗者が失うのが金銭的価値というのが新機軸なのだろう。その割には勝者が得るものがもうひとつ魅力的ではないというのが、いまひとつしっくりこない点かもしれない。
最初に価値を判断してもらって出資してもらってはわかるのだが、そのあと勝ち続けると何があるのだろう。もしずっと苦しいままであると延々ワレス(ワラス、ウォレス)のゲームをやっているようでただの苦行ではないのかなあ。
インプレッシブなのは敗者が出資金をとりたてられてえらい目に合う状況で、必ずしもお金を失ったり、破産後復権を得なかったりするわけではないのがよい。あの子どもがいなくなるという話はちょっとじーんときた。つまり彼にとっての最も金銭的価値があるのが「子ども」だったという件はなかなか重いよね。実際、こんなものなのかと考えてしまうし。
総じてあまり魅力的ではないがココだけはよかったと思う。

『日常』
いわゆる逆説的タイトル。まったく日常ではないが、じゃあ非日常を定義しろといったら難しいのでやはり『日常』だ。SFやオカルトやファンタジーに入り込まないのが日常と言ってしまえばそれまでだしな。
京アニ補正がかかっているのもあって、お話は総じて面白い。特に何とはないレベルから徐々にあげてくるところもここらしいです。大したシーンではないと思うところにSEなどものすごく気をつかってこしらえているのが見てとれてそれを嫌味に思わせないところに京アニの良さがあるのかもしれません。

アスタロッテのおもちゃ!
原作はコミックなのだが『ロッテのおもちゃ!』とクレジットしてあるので「お口の恋人」に配慮してタイトルを変えたのであろう。
年の離れた妹がいるのはこういったハーレムものにはよくある設定なのだが、それが妹ではなく実娘なのが変わっているのかな。
女の子達が魅力的に描かれているので、とにかく釘宮一辺倒にならなければゆっくり観れるのではないだろうか。

Aチャンネル
原作不明。社会人になると親以上の世代と否応なしに付き合わなければならないのですが、学生の頃はせいぜい数年しか年が違わない分、一年の差が物凄い壁になる。そういうことをうまく話に織り込んでいるのがうまい。
そこを皮切りに女の子の母性であったり姉性であったり妹性であったりを描写してくるという工夫が新しいのではないかと思う。年同じなのにおもいっきり下級生をいつくしむようなエピソードはなかなか。
画は『けいおん!』ぽいのですが、あれが性的なものを一切排除しているのに対し、そこここに軽くエロではない性的な魅力をもってこれるのが『咲-saki-』を彷彿とさせてくれている。
パンチは足りないが比較的万人うけする作品だと思う。

Dororonえん魔くん メ〜ラめら
永井豪原作の『えん魔くん』です。深夜枠でやるので『鬼公子炎魔』みたいなノリなのかとも思いましたが、ギャグ路線はきちんと残ってましてそれに深夜枠なりのお色気描写が加わるという形式なっています。
まあ、永井作品というと独特のあの「女の子描写」なのでこれで今の深夜アニメにかかる作品に対するアンチテーゼなのかとも思いますが、思い切り昭和のノリにこだわっているあたりそこまでの思想はないらしい。
対象年齢をかなり高めにとって復刻してみたらこんな形になってしまいました的なものだろう。

変ゼミ
原作はマンガかな。上述のアンチテーゼといえばおそらくこの作品があてはまると思われます。つまり、アニメに求めるエロや萌えなどを突き詰めて、いくところまでいくとこうなってしまうよ、という警告が主眼なのかもしれない。
すっと胃の腑に落ちる人はいいと思うのですが、それ以外の人にはあまりお勧めできかねます。私は結構こういった極みにはしる傾向は好きなので何とかなる方なのですが。
ま、異端児だ。

『よんでますよ、アザゼルさん。』
原作不明。キャラがきちんと確立している「悪魔との掛け合い」だけで充分おもしろいギャグ作品だと思う。それでいてこの短い時間で人間性まで描ききる力はさすがに水島さんなのだろう。
一生懸命観ることはないだろうが、軽く観てもなかなかの佳作だと思います。

そふてにっ
現行よくあるひらがなものですが『けいおん!』などとは違いあからさまに笑わせていこうという意図がみてとれ、それがやや痛々しい。まあ、こういった痛きもちいいのが好きな人もいると思うのでそういう人にはバカうけ(←死語)でしょう。
お色気ネタももう少し抑え目にするか過剰にするかはっきりしてくれればより明確になると思うのですが、「何目くじらたてているんだ」と怒られそうなので、まあ、いいんじゃないでお茶を濁しておいた方が吉なのでしょう。一番先に切れそうね。