ノンリプレイの理由(TTB版)

mixiのほうにも書いたことなのだがこちらにも書いておこう。

おのさんがなかなか興味深いことを書いているので
http://www.tgiw.info/2009/11/post_737.html
ちょっと私なりに考えてみた。

ま、私自身が「インストどうこう」って書いてることもあるんだろうがね。

件の文中ではいわゆる同じゲームをほとんど繰り返して遊ぶことのない人をノンリプレイ派といい、その理由として3点挙げてある。いちいち納得できる内容なので特に考えることもないのであろうが、ただ、その再現性に関してちょっと疑問があるのかもしれない。

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1つ目は「未プレイという価値」である。すでに書いたことだが、ゲームに固有の、システムの論理とでもいうべきものは、最初のインパクトが一番強い。そしてこの論理は、参加者全員で発見することによって楽しさが倍増する。ルールの説明を受けるときのワクワクする感じ、そして斬新なシステムを聞いたときの感激は、ボードゲームの醍醐味である。

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まあ、そのとおりだと思う。普通に人に会うときだって第一印象は大切だし、それがその後の関係にも大きくものをいう。ただ、私はボードゲームに関してそこまで初見でわかるのかという感が否めない。むろんわかるという人はわかるのだろうし彼の周囲だとそれが当たり前なのだろうが。3点目で一期一会と書いているから固定メンバーに限った話でもないんだよね。

で、ルール説明(インスト)は誰がするの?
全員ではじめてプレイするのだからインスト者も経験ないと考えるのが自然だろうし、それで「全員で発見する」レベルまで伝えきれる?

少なくとも私は自信がない。何人かはシステム追って「消化する」のがせいぜいなのではないかなあ。

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2つ目はプレイヤーの「フラットな状態」である。プレイ経験のない人たちが、勝ち筋を模索しながら全力でプレイして1位を目指すのは、初回においてのみ可能である。見え見えの接待プレイになったり、アドバイスがおせっかいに取られたり、「勝ったのは経験者だからだ」などと言われたりしないで済む。

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確かに経験者が有利なのはわかる。まあでもそれはボードゲームに限ったことでもなく趣味にすら限られることでもない。特にゲームなので経験者が相対的優位にたつのは必然だしそれがどうだといわれても「必然じゃないの」としかいえない。

全員初めてなら強いやつが勝つのだろう。それに何の疑問もない。

接待プレイやアドバイスを批判されるのなら「しなければいい」だけの話だし、経験者が勝つのもいわれてまずいことかなあ。これも必然なだけだと思う。

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3つ目は「一期一会」という哲学である。千利休は、茶会に二度と同じ会はないこと、それゆえ誠実な心で人に対すべきであると説いた。同じことがゲーム会にも言える。メンバーだけでなく、ゲームとの出会いもまた然り。この気持ちは何回目であっても持ち続けたいものだが、初対面・初プレイのときこそ最も強まる。同じメンバーで同じゲームを遊ぶことは2度とないかもしれない。だから今回のプレイを大切にし、本気で考え、全力で笑う。そこから生まれる緊張感が、ゲームとメンバーのポテンシャルを最大限に引き出すだろう。

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まことにもってそのとおりだと思う。しかし、ご自身でも述べているようにこれは全員初めてのプレイということに限定される話ではないと考えるので、ノンリプレイ派とはあまり関連がないように思う。

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余談ではあるが、新規参加者を求めるゲームサークルなどでは、このフラットな状態をどうやって創出するかがひとつのポイントになる。初参加のサークルで、初めて遊ぶゲームなのに初手からいきなり「それはない」とか言われた挙句、ゲームに置いていかれてダントツ最下位だったら、2度目に行くのをためらうだろう。全国的に、評判のいいものを何度も遊ぶサークルが大半のようだが、仲間を大事にするために経験の差をどう埋めているかは気になるところである。

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余談にどうこういうのは大人気ないのかもしれないが、まあ大人じゃないから許してくれ。

そのとおり、サークルにゲームをしにくる人は楽しくなければ次はこない。これは他の趣味でもそうだ。ただゲームで負けたからといって来なくなる方は聞いたことがない。得てして「生真面目なゲーマーさん」の陥りそうな論なのだが、緒戦から勝ち負けを求めているのは「生真面目なゲーマーさん」だけであり、その他の人は負けても楽しければ来る。

一見すると新規参加者に対するケアになっているようにみえるけど、実態は「生真面目なゲーマーさん」を歓待しているだけなので、こんなことをしてもゲーマーしか増えないし、新規参加者にとって優しいことではない。しかも先述のように批判される可能性があるのでアドバイスもできない。

総じておっしゃっていることはよくわかる気がするのだが、それはあくまでもゲーマー視点から逸脱するものではない。

再現性の話に戻るけど、これまで書いてきたようにこの状況が「よい状態」であるというのはよくわかるのですが、まったくの初めからインスト充分でなしにシステムをちゃんと把握してその醍醐味を理解できるという「高次な人」以外には実現できないことではないかと考えます。