Thorsten Gimmlerへの賛歌

TTB_19972007-12-08

『ヤギ戦争』の個人的評価が低く、かつ言わなくてもいいのに、それをまた公言しているため、最近総スカンのTTBです。(^o^)
毎年、エッセンの出口評価ってののうちいくつかはこういうのもあるものなんだがなあ。ま、いっか。

ところで「TTBゲーム」というものが存在する。いや、存在するというのはおかしいな。そんな単語も定義もないんだし。もちろん「能登かわいいよ能登」みたいに「現代用語の基礎知識2008」に載るわけでもない。

まあ、ありていに言うと私が好きなゲームでしょっちゅうプレイしようとしているものであり、かつ私がメンツ(参加者)に入るとゲームの性質が変わってしまう類いのものである。何のことかわからない? そりゃそうだな。

では、具体的にどのゲームが該当するのかというと、代表的なものは『イントリーゲ』(特に旧版)、『プールポジション』、『クォヴァディス』、『マメじゃないよ』等である。最後の『マメじゃないよ』はそれほどでもないだろうが、少なくともはじめの3ゲームは、ほとんどの場合、私が持っていって、そして積極的にやろうと主張してメンツを集めないとプレイされない。ま、実際、他におもしろいゲームはたくさんあるしね。

で、これらのゲームのうち『プールポジション』をデザインしたのが標題のThorsten Gimmlerである。ただ、このゲームはさほど世間的に評判が高いわけでもなく(いやかなり低いな…)、発売された1999年にあっという間に絶版になってしまった。そこは商品である以上いたしかたない。

当然だが、私がやろうというくらいだから私はこのデザイナがとても好きである。今年、彼は新作をデザインした。それが『ギャングスター』である。もう最高である。だが、やはりこれも『プールポジション』と同じ道をたどるであろうことは想像に難くない。おそらくすぐ絶版だろう。

なんといっても、このデザインはいわゆる「ドイツゲーム」ではないものなのである。

この人が2004年に『ゲシェンク』(おそらくこのゲームが日本での彼の作品の中では一番メジャーであろう)をデザインしたとき、正直私は失望した。これは「ドイツゲーム」じゃないか。ま、ドイツゲームであるので売れたし、コアなゲーマーはもちろん「ゆうもあ」など比較的普通の人に近い層でもひろく受け容れられている。このゲーム自体非常に優秀だと私も認めるし、実際種々の局面で使用可能なのでとても重宝している。ありがたい。だが、彼がこれでは私は困るのだ。

だから今年『ギャングスター』が出たときとても嬉しかった。 Gimmler、あなたはまだこんな作品がつくれるじゃないか。

このところゲームはぜんぜん買ってなかったけど、すぐ買った。ファンレターも書いた。我ながら、少しずれてるしおかしいとも思うのだが「好き」というのに理屈なんかはいらないのだ。

新たな「TTBゲーム」がひとつ増えた。私の愛するゲーム仲間の口さがない連中は「TTBとやるとなー」とかのたまわってくれるに違いない。

実のところ私はそのことをけっこう気にいっていたりする。同じゲームをやるときに、私というメンツが加わることで新しい展開がある。違う楽しみ方ができる。

これって「私がゲームに参加している」という実感を得られる瞬間なのである。

ゲームが楽しいわけじゃない。ゲームに参加している人が楽しい。同じ相手と同じような定跡やルーチンで対応するなら、人間相手にゲームする必要はなくなるとは言わないが薄くはなる。私がゲームに参加することによって変わる。こんな嬉しいことはない。

もっとも、私が楽しいと感じているだけといえばそうなので、実際に私と相対している人にとってはどうなのか本当のところは知るよしがないから悪しからずご了承ください。(;^^A